京成の数ある廃駅の中でも最近まで現役であったことから一番有名だと思われる駅、博物館動物園駅の探索です。

博物館動物園駅

 博物館動物園駅は、1933(昭和8)年12月10日の京成本線上野開通に合わせ、東京帝室博物館・東京科學博物館・恩賜上野動物園や東京音樂學校、東京美術學校などの最寄り駅として開業しました。運輸省の接収を受けた1945(昭和20)年6月10日〜9月30日と、改良工事によって1976(昭和51)年6月16日〜12月15日に営業休止したものの、不死鳥のごとく甦り、京成の廃駅の中で最も最近まで営業していました。しかし、老朽化や乗降客数の減少が響いたため、1997年(平成9年)4月1日に営業休止、2004年(平成16年)4月1日に廃止となりました。廃止後も駅舎やホームは施設はトンネルの非常用避難路として現存しています。また少ないとはいえ一定数の利用があったにもかかわらず、近年になってから廃止になった理由としては

・ホームの有効長が短く最も短い4両編成しか停車するできず、それでさえも先頭車両の端の部分はホームからはみ出てしまい、列車と壁の隙間に台を設置して対応していたことが安全面で問題になっていた。
・1981年以降、普通列車の一部が6両編成になったことで、当駅を通過する普通が設定され本数が減った
・開業以来本格的な修繕がなされていないため、老朽化が進んでいた。
 >最後まで木製の改札ラッチが使われていた。
 >自動券売機が設置されなかったため、乗車券は駅員による手売り。
 >ホームや通路は薄暗く、壁はむき出しのコンクリート。
・地下駅のため保安上の理由から無人化することができなかった。

これらが挙げられます。

 駅の構造としては、相対式ホーム2面2線で、改札口は上りホーム側に設置されていました。出入口は、皇室用地だった東京帝室博物館(現・東京国立博物館)の敷地内に建設されたものと、上野動物園旧正門へ続くものの2か所があります。昭和天皇の御前会議で決まった駅舎は、国会議事堂の中央部分のような西洋様式の外観が特徴です。もう一つの駅舎は、昭和40年代に現行の動物園正門が開設、閉鎖された。閉鎖後は東京都美術館の資材倉庫として利用されているそうです。

探索

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スタート地点は京成上野駅。ここから上野公園内を抜けていきます。
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 祝日とあって人出はかなりあります。(前回、元日の早朝4時頃に訪問した時は発狂した浮浪者と思わしき方しかいませんでしたが…)
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国立西洋美術館を横目に進みます。
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 そういえばこの建物、つい最近世界文化遺産に登録されました。のぼりが立っていて思い出しました。
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 国立科学博物館の企画展示入り口には長蛇の列が出来ていました。私も時折訪問する博物館ですが今回はスルーします。
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車通り(都道452号線)まで出たら左折します。
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国立博物館を横目に進みます。
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 旧丸の内大名小路(現在の丸の内3丁目)にあった鳥取藩池田家江戸上屋敷の正門を移設した「旧因州池田屋敷表門黒門」を過ぎれば、その次の交差点に駅舎があるのが見えてきます。
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駅舎はそのまま残っているのでとても分かりやすい博動駅。
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ギリシャの神殿的な何かを感じさせる作りに見えるのは柱のせいでしょうか。
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立派なプレートが掲げられています。
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下には説明書きも貼ってあります。この記事なんかより分かりやすいですね。
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公園の景観を損なわれないよう工夫して造りこまれた良い建物です。
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 デザインは昭和天皇の御前会議で決まった駅舎です。景観を壊さない配慮を施した例としてはかなり先進的ではなかったのでしょうか。
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 裏手は換気口となっています。ちなみに交差点の向かいにはもう一つの出入り口がありますが、炊き出し会が行われており、邪魔になってはいけないので訪問はしませんでした。(→追加訪問)
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探索は終了です。次の駅を目指して言問通り方面へ向かいます。

 ※2018/11/25 追記:博物館動物園駅駅舎の公開に併せて、未訪問だった公園口も訪問してきました。
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交差点から上野公園方への路地に入った所にひっそりと残っています。
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建物は簡素で、倉庫然としています。まさしく「裏口」といった感じです。
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ただ、通りに面した方の駅舎と酷似している面影も見られます。
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苔の生え方が明らかに違うこのヒサシ部分は開業当時のままで間違いないでしょう。
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付近には芸大の境界柱が設置されていました。

2018年冬の駅舎内特別公開編はこちら



写真:特筆事項が無いものは全て筆者/同行者による撮影
執筆:三島 慶幸