九十九里浜の中心地、終点・片貝へ目指して進みます。

漁師町・片貝へ

(→中編)

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東金から5キロ地点、数える事4つ目の駅である荒生駅跡には、なんと当時のホームが残存していました。
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廃止から56年、田んぼの中でひっそりと眠り続けています。
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ホーム跡にはなんらかの鋲が打ち込まれている場所もありました。
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荒生駅から先しばらくは、おおよそほぼ当時のままであろう路盤が残っており、往時を忍びながら探索が出来ます。
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駅跡を振り返ってみます。ホームの位置に生えている大きな木が良い雰囲気を出しています。
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おおむね真っすぐ、九十九里浜へ路盤は延びていきます。
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いよいよ九十九里町に入ります。(撮影:県道)
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…とここで、突然に遊歩道が出現。
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農業用の水路を境に荒れた路盤からすっかりその相貌が変わってしまいました。またこの用水路に架かっていたであろう橋は完全に失われており、若干の迂回を強いられます。
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レールを模したタイルの遊歩道が続きます。この遊歩道は「きどうみち」という名称で九十九里町が整備したものだそうです。こうして未だに地元に親しまれているようです。
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九十九里町に入った瞬間に遊歩道となる所に「行政」を感じられます。(?)
ちなみに地面の線路模様は最初の区間だけでした。
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遊歩道を進むことしばらく、今の片貝西交差点のすぐそばのこの位置に「西」駅がありました。岡集落(古村)最後の駅でもあります。
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当時の痕跡は特にありませんが、遊歩道が少し広くなった空間に建てられた青いオブジェがちょうど西駅跡を示しています。(そのつもりでオブジェが置かれたのかは不明です。)
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遊歩道に寄り添うように細い車道がある不自然さによって、線路の情景妄想が加速していきます。
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朝早くであるためかほとんど人には出くわしません。
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九十九里町立片貝小学校の横を抜けていきます。ここに「学校前」駅がありました。(東金から7.7km地点)
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学校前を過ぎれば、終点の上総片貝はもう目と鼻の先です。
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遊歩道はここで浜川を渡ります。鉄道時代の橋台などは確認できませんでした。

水面からは天然ガスが自然に湧いていました。天然ガスの豊富な九十九里浜ならではの光景で、九十九里鐡道とは戦時中にこれを代用燃料に運行していたというような関わりがあります。
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天然ガス用のタンクも点在しています。
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遊歩道らしい舗装が消え、廃線跡はここでぐぐっと弧を描いて進路を北に変え、片貝の町へ入っていきます。
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往時であれば急カーブの向こうからガソリンカーが走ってきたことでしょう。
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廃線跡の近くで育つ環境は素晴らしいと考えます。
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片貝の町の路地を進むと、終点の上総片貝駅跡にあっさりと到着しました。ここは今でも九十九里鐡道バスの「片貝駅」として機能しているため、ある意味「現役」とも言えます。
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九十九里浜の中心地・片貝。イワシ漁の豊漁期毎に内陸から集落が前進され形成されていた納屋集落。その豊漁期スパンが短いタイミングがあったことで片貝周辺は現在のような市街地になりました。探索時はまだまだ朝早く、曇りでしたが、海水浴やサーフィンを楽しもうと朝からやって来る観光客の姿もちらほらと見えました。
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天気はあまり良くないですが、せっかくなので海まで歩いてみます。

 さて、帰りは並行路線かつ、現在でも代行路線の役割を果たしている九十九里鐵道の片貝線東金駅行のバスに乗車します。
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「千葉銀行前」で乗車。
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8:33発 乗客1人
8:35 西の下 2人乗車
(8:38 西駅付近通過)
8:39 沼端 1人乗車
(8:42 荒生駅付近通過)
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車窓からは九十九里鉄道の路盤跡が時折見えます。
(8:44 家徳駅付近通過)
(8:47 堀上駅付近通過)
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8:52 サンピア前 1人降車
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途中で九十九里鐵道バスの車庫を通過しました。富士重工架装の前後扉中型車がたくさん留置されていました。(乗りたい…)
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9:05 東金駅到着。鉄道時代よりも早い(であろう)所要時間でした。
乗車したバスは小湊鉄道バスから最近やって来たばかりの転属車である292号車でした。スペースランナーRM/西工架装の板バネワンステ車両です。個人的にKK-RMまでの日デ中型車が好きなので楽しいバス乗車になりました。(292号車 千葉200か 10-39 日産ディーゼル/西工 KK-RM252GSN)
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出発から戻ってくるまで、合計でおよそ3時間の探索でした。

探索終了。


本記事(連載の場合全編)での参考文献など(敬称略):
・宮脇俊三「鉄道廃線跡を歩く」(JTBキャンブックス)
・今尾恵介監修「日本鉄道旅行地図帳」(新潮社)

・Googleマイマップ「千葉県の廃線・未成線」
本記事中(連載の場合全編)で使用した地図・航空写真:
・国土地理院 地理院地図(電子国土web)(加工は筆者によるもの)
写真:特筆事項が無いものは本記事中(連載の場合全編)全て筆者/同行者による撮影
執筆:三島 慶幸