南国の季節外れで暴力的な日差しを受けながら廃線跡を進んでいきます。

(→前編の記事はコチラ)

路盤跡を進む

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薩摩山崎駅からしばらく進んだ先で、レールが敷きっぱなしの場所が現れました。写真の部分ではレール間にコンクリが敷かれており、住宅の勝手口を介した裏通路のように用いられていました。そのおかげで草も刈られているのでしょう。
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擁壁も残っています。宮之城線の現役時代の終盤に設置されたものでした。
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この区間では集落の裏手を切り割って進んでいます。
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バラストも沢山転がっています。
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藪の中に入ると一転して手付かずの廃線跡に化けます。

粗雑ですが動画も用意しました。(馬鹿みたいに暑いのが伝われば幸い…)
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切り割りの立地上湿気が酷く所々でぬかるんでいるような場所もありますが、誰が見ても廃線跡とはっきりわかる様子は保っています。
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うきうき歩いていたらあっという間に出口についてしまいました。
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振り返ってみました。こう見ると中々鬱蒼としていますね…


拠点・宮之城へ

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山崎の集落(大畝)を抜けて、北上していきます。
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廃線敷は道路に合流していきます。
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この道は転換道路というわけでは無く、現役時代から線路と道路が並走していたのだと思われます。
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5分ほど進むと分岐が現れました。
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ここで、既存の道路と独立した廃線跡の転用道路が現れています。
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「いかにも」な単線分の道幅による緩やかなカーブが展開しています。地味な車窓だったのかもしれませんが、ここを窓を開けて進むのは最高の気分だったことでしょう…
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元来車道では無かった場所なので、交通量も少なく静かな一本道が続いています。
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木製電柱に傘付きの街灯…
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!!!
ゴミの不法投棄の看板を支えてるそれは…キロポストでは?
掠れている字を読み取ると宮之城線の25キロポストのようで、思わぬ収穫になりました。
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薩摩山崎駅が23.4kmに位置しているので、位置的に当時の25キロ地点のままでしょう。
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キロポストから歩くこと10分弱、国道が近づいてきました。
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国道を少し南に戻ったところに九州ファミレス代表格のジョイフルがあったので、ここでお昼休憩を取ることにします。
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いらっしゃいませ!ジョイフルへようこそ。本日のオススメはツインハンバーグと和食のセットでございます。ご注文がお決まりになりましたらそちらのボタンでお呼びくださいませ。ではごゆっくりどうぞ。
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ドリンクバーで水分を大量補給し、冷房の効いた室内でリラックスし終えたところで再出発です。
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在来の道路側から見た路盤転用道路。ガードレールが見えていてちょっと惜しいですが、アスファルトが見えないので鉄道線らしさが見て取れます。
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この先は途中に船木駅を挟み、宮之城まで進んでいきます。
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小高い上り坂に差し掛かりました。
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そしてこの坂のてっぺんの位置が船木駅跡です。今でははっきりわかる痕跡はなにもありません。
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駅前広場…であった場所。「ここが駅跡」と言われないとピンときません。
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駅開設時にあった駅舎は早々に住宅に転用されたようで、1958(昭和32)年には無人化されています。写真の道路はホームの裏手にあたる道路になります。写真左手がホーム跡と推定されます。
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駅跡を示すモニュメントの類も一切なく、ほぼ忘れ去られている廃駅ですが、駅跡には国道からの通路となる小径が伸びており、地図上では辛うじてその位置が判ります。
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船木を過ぎると国道から大きく東に逸れます。あたり一面には田んぼが広がりました。
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写真で見ればさわやかな田園風景なのですが、歩いている当人はひたすらあつい…以外の感想が湧きません。
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頭がくらくらしてこようかというところで目の前に何やら構造物が見えました。
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現在地は、いよいよ宮之城の街に差し掛かるといったところです。
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見えていた構造物は頭上を横切る県道の姿でした。敢えてオーバーパスしているのはもちろんこっちが線路であったから。今も普通に道路構造物として現役ですが、旧跨線橋といって差し支えないでしょう。
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緩やかに下る道の先に街が見えてきました。
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宮之城市街地に突入!
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バスを降りてから3時間弱(休憩込み)、宮之城駅跡に到着しました。跡と言ってもバスの拠点「駅」として機能しています。
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宮之城市街と廃線跡の位置はこのような様子です。2005(平成17)年に鶴田町、薩摩町と合併しさつま町となった現在でも中心地であり、イメージはあまりありませんが温泉街でもあります。
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旧駅舎内の記念館内に残されているタブレット閉塞機。開業から廃線までほぼ一貫して使用されました。
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裏手には線路も敷かれており、中々充実した展示になっています。
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宮之城線はここから薩摩大口まで続いています。今回はこれで帰投しましたが、いつか機会があれば全線踏破してみたいものです。(涼しい時期に行う事だけは間違いないですが…)

探索終了。


本記事(連載の場合全編)での参考文献など(敬称略):
・今尾恵介監修「日本鉄道旅行地図帳」(新潮社)
・宮之城町史
・宮之城鉄道記念館館内の各資料
本記事中(連載の場合全編)で使用した地図・航空写真:
・国土地理院 地理院地図(電子国土web)(加工は筆者によるもの)
写真:特筆事項が無いものは本記事中(連載の場合全編)全て筆者/同行者による撮影
執筆:三島 慶幸