千頭林鉄序盤のこの区間最大の痕跡である「ウムシトンネル」を探索し、暫定ゴールの「松崎」を目指しました。
(前回)
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起点から、今回の探索最大の目玉、ウムシトンネルに到着しました。
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歩いて来た道路を振り返ります。既に落石多発区域内であり、危険であるといって良いような道でした。
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千頭林鉄本来のトンネルが姿を現してくれました。このような序盤の地点で出会えるのは非常に喜ばしいです。先ほどの横澤隧道とは異なり、拡幅工事はされていない為、大型車は横の迂回路を抜けていきます。

ウムシ隧道(南側坑口)
施工年:1931(昭和6)年※寸又川工事用軌道の開業年
材質:素掘り・一部コンクリート
工法:山岳工法
断面形式:一級林鉄断面(?)
全長:234m(実測)
笠石:有・横澤隧道に酷似?
扁額類:
ピラスター(壁柱・控壁):無
ウイング(翼壁):無

インバート(仰拱):無
所属・管轄:川根本町?
使用終了年:現役(林道として)
経年:86年(推定)
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早速洞内へ侵入します。苔とは別の緑化が少し気になりました。
洞内は常に水が湧き流れているのですが、その地下水の成分でしょうか。
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基本的には通常通り素掘りですが、地圧のためなのか出入り口と一部はコンクリートで巻き立てられています。この巻き立てが開業時なのか、改軌時なのか、はたまた最近なのかはっきりしていませんが、隧道を拡幅した横澤隧道の巻き立てに似ているため、1971(昭和46)年3月の林道化工事によるものではと考えています。
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素掘り隧道の美しさに吸い込まれそうです。※既に洞内に吸い込まれています。
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路盤は舗装され車道化されています。ちなみに真ん中の溝は排水溝です。湧出する水量は多く、まるで雨のように降り注ぐところも多数ありました。
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林鉄時代の貴重な遺物を発見。ここに連絡用などの電線が架けられていたはずです。
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素掘りとコンクリート部分に境目がある部分では覆工の巻厚の具合を見ることが出来ます。
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あっという間に抜けてしまいました。左に見える砂利道が迂回道路です。トンネルを利用すると1/3ほどのショートカット効果があります。
ちなみに入口の看板、どうやら隧道名を記載していたものだそうですが、これは林鉄時代からのものなのでしょうか…?
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どんどん道が悪化していきます。各地の林鉄で「トンネルが一番安全であった」というような話を耳にしますが、ここ千頭でも同じような事が言えそうです。
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落石多発区間のこの道ではこのような光景が当たり前のように展開されています。
大きな岩が落ちてこようものならこのガードレールのように、いやそれ以上に潰されて寸又川の泡となることは間違いありませんが、私の頭に落ちてきたのは小石であったので大丈夫でした。(痛かったことに変わりはない…)
ここではリアルタイムでの小規模落石が当たり前なのでしょうか。
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起点から歩くこと5.5km。寸又川のダムへと向かう分岐点に到着しました。
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この位置に松崎停留所がありました。周辺にかつては集落があったのでしょうが、今では何も存在しません。
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この先、まず一番手前で言うと「大間」という集落まで軌道跡が続いています。いつか叶う、いや叶える全線踏破を心に誓い、折り返します。