久々に「ミニレポ」形式の軽い記事です。

 そもそも数寄屋橋とは、1629(寛永6年)に江戸城の外濠に架けられた橋で、現在の晴海通りにあった橋でしたが、その後、1958(昭和33)年に外濠が東京高速道路の建設により埋め立てられ、橋どころかお濠そのものが消えてしまいました。今では東京高速道路の橋が新数寄屋橋と名付けられている他、周辺の地域も数寄屋橋と呼ばれ、銀座周辺の地名の一つとして親しまれています。近くには「よく当たる」という噂で毎度おなじみの「西銀座チャンスセンター」があり、ピーク時には数寄屋橋の交差点周辺は行列が出来たりもします。
  今回取り上げる数寄屋橋交番はその数寄屋橋交差点にある交番です。現在の建物は1982年に完成しました。
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銀座駅で下車します。奥にはThe 銀座といった感じの銀座・和光が見えています。
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有楽町方面へ歩くとすぐに数寄屋橋交番にぶつかります。
ちなみにかつてはここに都電の「数寄屋橋」電停がありました。
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これが数寄屋橋交番です。とんがり屋根と先の待ち針のようなものが特徴です。
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今回ここを取り上げたの理由はこの屋根のモニュメントについて逸話があるからです。

 この「警視庁築地署数寄屋橋交番」は、建築デザイナーの山下和正氏が1981年に設計依頼を受けたものです。その設計時に彼はとんがり屋根の先に付けるデザイン(意匠)に苦心し、結局期限までに決まらなかったので「この部分に後から飾りが付きます」と事前のプレゼンで説明しました。その際に製作していた模型に彼はとりあえず待ち針を突き刺して仮提出したそうです。
 するとその「この部分に後から飾りが付きます」という話が警視総監に全く伝わらず、そのまま仮の状態でなんと許可されてしまいました。その後山下氏は完成したデザインを引っ提げ抗議…もとい修正を求めたのですが、「現在の形で警視総監の承認が降りて予算が執行されてしまったため、予算は下りない」と言われてしまい、そのまま交番の屋根のデザインとして採用。翌年、銀座に日本最大かもしれない待ち針が完成しました。
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個人的にはシンプルで好きなデザインですが、待ち針という情報を一回聞くと確かにそのようにしか見えません…

 この「数寄屋橋交番」、耐震補強や女性用の部屋が無い事などから、なんと建て替えが決まってしまいました。取り壊される前に機会があれば訪問して、待ち針とお役所仕事に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


探索終了。